変態設立事項とは?4つの定款への相対的記載事項

会社法

株式会社を設立するときに、定款に必ず記載しなければならない事項を「絶対的記載事項」と言います。

「絶対的記載事項」については、定款に必ず記載しなければならないものです。

それに対し、ある一定の特別な事項を定めるときのみ、定款への記載が要求されているものがあります。

それを「相対的記載事項」といいます。

そんな相対的記載事項の中でも、特に、会社に損害を与える可能性のある定款記載事項として特別の手続きを要するものを「変態設立事項」と言います。

「変態」というのは、「変わった様態」という意味ですね。

「変態設立事項」は、「危険な約束」ともいわれています。

会社にとって必要、有益な行為ではあるものの、場合によっては、発起人による権利の濫用によって会社に損害を与えてしまう可能性があるために、特に指定されている行為です。

「変態設立事項」には、下記の4つがあります。

1 現物出資

現物出資は、金銭以外の不動産や、動産(物。自動車や機械など)によって出資をするという形態です。

発起人にのみ認められています。

現物は金銭と違い、どのくらいの価値があるものなのか?不明瞭です。

全く価値がないものでも、「これは100万円の価値があります」と発起人が申請できてしまう、なんていうことがあれば大変です。

会社に損害が生じてしまいます。

そこで、現物出資がある場合には、裁判所の選任した検査役という人の調査を受け、その現物の価値を評価してもらう必要があります。

※ただし例外で検査役の調査不要な場合もあり。
財産総額が500万円を超えない場合や、出資物が有価証券など市場価格が決まっているもの、簡単に評価できるものである場合、または弁護士、会計士、税理士から証明を受けた場合には検査役の調査は不要です。

2 財産引受

財産引受とは、第三者の所有している物を、会社に買わせる行為です。

会社が設立することを条件に、会社が設立したらその物を売って下さい、貸して下さい、などの契約を結び、会社が財産を引き受けるという形を取ります。

しかし、こちらについても第三者が保有している物(財産)に価値がなければ、会社には損害を生じさせてしまいます。

財産引受がある場合にも、1の現物出資同様、裁判所の選任した検査役という人の調査を受け、その現物の価値を評価してもらう必要があります。

※ただし例外で検査役の調査不要な場合もあり。
こちらも1の現物出資と同様、財産総額が500万円を超えない場合や、出資物が有価証券など市場価格が決まっているもの、簡単に評価できるものである場合、または弁護士、会計士、税理士から証明を受けた場合には検査役の調査は不要です。

3  発起人の特別の利益・報酬

特別の利益・報酬とは、発起人が会社設立に際して提供した労務やサービスに対して受け取る報酬や特別な利益を指します。

提供した労務に対して報酬を受け取るのは当然ですが、発起人が発起人の立場を利用して、多額の報酬を受け取るということがあれば、会社には損害を生じさせてしまいます。

そのような損害を防ぐ目的で、 発起人の特別の利益・報酬についても定款に記載し、明確性を保つ必要があります。

特別の利益・報酬がある場合にも、裁判所の選任した検査役の調査を受ける必要があります。

4 設立費用

設立費用は、会社の設立のためにかかる必要な費用のことです。

例えば、事務所を借りるとか、通信費や交通費などがかかりますよね。

こちらについても、発起人が不要なオフィスを借りたり、不要なものに莫大な費用を使うということがあれば、会社に損害を与えてしまうため、定款の相対的記載事項として定められています。

設立費用についても、裁判所の選任した検査役の調査を受ける必要があります。

 

以上の4つが「変態設立事項」となり、定款への相対的記載事項として記載が必要となる事項となります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました